くらこことっと の存在意義を実感できた事例をご紹介致します。
2020年4月
コロナ禍になって、通常業務が激減していく中、一件の新規ご依頼が入りました。
「予定していた海外旅行が中止になり 時間が出来たので、先延ばしにしていた家の片付けを一緒にしてほしい。」とのことでした。
Sさん ( 60代、女性 ) ご高齢のお母様が施設に入所されているため、ご実家にお一人暮らしでした。
子どもの頃から片付けが苦手、買い物好きで 物を増やしてしまう、そして 物を手放せない傾向もあるため、お家の中は、たくさんの物で 溢れていて、困っていらっしゃいました。
物を手放せない理由としては、物に対して愛着や固執があり、使わない物でも手放せない、物を捨てるのに罪悪感を持つ、優先順位が決められず要不要の判断がつきにくいなどがあります。
そのため、大人数のスタッフが入って短時間で片付ける方法は、難しいと思われます。
お客様のペースに合わせて マンツーマンで丁寧に伴走していく、くらこことっとの進め方がとても合っていました。
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整理収納の基本は、
整理…要不要を見極めて不要な物を手放すこと
収納…使っている物を使いやすいように住所を決めて納めること
そして、始め方には、2パターンあります。
A.収納内の物を片付ける時は「全部出し」
B.物が外に出ている場合は「種類別に集める」
Sさん宅は、既にたくさんの物が出ている状態だったので、Bパターンで始め、状況に応じてAパターンも行いました。
《 Bパターンの 進め方 》
① 片付けるエリアを決める
② 種類別に集める
③ 集めた中から、要る物、要らない物、迷う物に分ける
④ 要らない物をゴミ袋に入れて家から出す
⑤ 迷う物は、段ボールなどに入れてラベリングして、遠くに置く
⑥ 要る物は、使いやすいように住所を決めて納める
当初、要不要を決めるのに時間が掛かりましたが、何度も繰り返して行くうちに、だんだんと判断が早くなっていきました。
1ヶ月に 2~3度訪問、上記のサイクルを繰り返し、半年後には2トントラックで大物を処分でき、整理収納は着々と進んでいきました。
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10ヶ月後の2021年1月、久保は、新事業である「経営者向け 空間・物・心の整理収納コンサルティング」の業務に集中するため、新パートナーの深須裕子さんに、Sさん宅のお仕事をお願いする事になりました。
深須さんは「柔軟性があり、人の立場に立とうと努力する。人見知りがなく苦手な人が少ない。」という強みがあるので、Sさんに心理的負担を感じさせることなく、バトンタッチが出来ました。
こうして、Sさん宅の整理収納はコツコツと進み、2年が過ぎたころ、施設に入所されていたお母様が逝去されました。Sさんのご希望は、お母様を住み慣れた家に帰してあげたい、そして ご自宅で葬儀を行いたいとのことでした。
私が初めてお伺いした 2年前では、想像もつかなかったことですが、それが出来たのです。
葬儀の数日後、お線香をあげにお伺いした時の事、私は、お母様の遺影が置かれている和室を見て、感慨深いものを感じました。その後、お茶を頂きながらSさんと久しぶりにお話をしました。
当初、Sさんは「情けない」「やんなっちゃった」とよくおっしゃっていましたが、2年経った今では、とても穏やかでスッキリとされていて、否定的な言葉は出てきません。
整理収納サービスは、物だけの整理に留まりません。物を整理することで、心の整理も進んでいきます。
~暮らしもこころも整える~
くらこことっと の理念を実現できたと、しみじみ感じた一件です。